セシウム134を検出するモルガナイト

アフリカでとれたモルガナイト原石を中性子線で処理、色調の特徴は、オレンジッシュピンク〜ブラウニッシュピンク。放射線検査で0.15マイクロベクレルの残留放射能を検出するが、それ以下のものも存在。
放射能の原因は、セシウム134。その半減期は、約2年。福島原発事故のセシウムは、137で、半減期は、約30年。福島原発事故由来の放射線ではありません。社団法人日本ジュエリー協会の「ジュエリー用語事典」によりますと、モルガナイトは「ピンク色、淡赤紫色のベリル。ローズ・ベリル、ボロビエナイトともいう。かつては、セシウム・ベリルと呼ばれた」(要約)とあります。

1999年4月初版「ジュエリーコーディネーター検定2級」教本には、「Mnに起因するピンク色のベリルのことをモルガナイトmorganiteと呼んでいるが、この名は、アメリカの銀行家J.P.Morgan にちなんでつけられたものである」と書いてあります。

すでに、社団法人日本ジュエリー協会は、会員に向け注意を促す通達を出しています。

あくまで個人的な意見ですが、これから、宝飾業界からのさらなる情報開示と適切な対応を期待するばかりです。

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ダイヤモンドのカラーグレード

ダイヤモンドのカラーグレード
ダイヤモンドのカラーグレードをするために使用していました無蛍光紙。折り目が付いていて、写真のように折り込んで使います。


特に、メレーダイヤモンドをアソート(仕分け)するときに使っていました。


市販の紙は、白色を強調するために、ほとんど蛍光塗料を混ぜていると聞いています。ダイヤモンドのなかで蛍光の強いものは、蛍光に反応して青白く光るものがあり、地色を消し、カラーグレードが良く見えます。


そういうことを避けるために、無蛍光の紙を背景にしてカラーグレードを決めるのです。


買い付け、仕入れ時に、カラーグレードを決めるために、マスターストーンを持っていくわけにはなかなかいきませんので、ポイントとなるカラーグレードを大体目で覚えておくのです。


メレーだと、スコップ(宝石専用)で三角形の窪みにザラッと入れてカラーを確認したり、リジェクションします。

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「タンザニアの宝石(Gem of Tanzania)」は、アニョライト?

AFPによりますと、「一時は1100万ポンド(約16億円)の価値があるとされた石、「タンザニアの宝石(Gem of Tanzania)」が、わずか8010ポンド(約113万円)で売却されていたことが明らかになった」と報道。

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「タンザニアの宝石」は重さ約2.1キロの紫色の石で、一時は世界で最も高価なルビーとされ、4000万ポンド(約57億円)の負債を抱えて09年に経営破たんした英建設会社リーキン・コンストラクション(Wrekin Construction)の主要な資産とされていた。


 英メディアは前年、この石は実はアニョライトのかたまりで、せいぜい物珍しい文鎮程度の価値しかないと伝えていた。報道によれば、これまでに出ていたこの石の複数の鑑定証は偽造として無効にされている。

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アニョライト 「ジュエリー用語事典」より

緑色の不透明なゾイサイト。ルビーの結晶を含むものはルビー・イン・ゾイサイトという。アニョは産地のサンザニアの部族語で、緑の意。

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バーレーンの天然真珠の将来性は・・・

 バーレーンの真珠加工・販売業者アル・ハシミ・パールズのディレクター、ヴィジェイ・シャー氏は「本格的な真珠採取業者がおらず、供給不足で困っている」と話し、「バーレーンには世界で最後の持続可能な天然真珠の養育場が残っている」と胸を張っています。

 国連によると、バーレーン沖には5万ヘクタールもの真珠貝の繁殖場が広がり、真珠貝は1ヘクタール当たり2万3000~4万3600個の密度で生育、「最高品質の真珠」が採れるとのこと。

 シャー氏はまた、「天然真珠は価値が上がるため、養殖真珠よりずっと良い投資対象だ。養殖は宝石取引の世界じゃ中古車扱いだよ」と話しています。競売大手クリスティーズが4月に開催したドバイのオークションでは、海水産天然真珠の装飾品が数点出品され、452個の天然真珠を用いた5連ネックレスに15万8500ドル(約1508万円)の値が付きました。

 ドバイ政府系企業ドバイ・マルチ・コモディティーズ・センター(DMCC)に2年前に開設された真珠取引所のガティ・ラバニ事務局長も、天然真珠を成長分野と見込んでいます。「真珠取引は年商4億ドルのビジネスで、天然真珠への投資は最も関心が集まる分野なのだ」。

 ただ、年初来の真珠取引高をみると、その多くは養殖真珠の売上高。しかしラバニ氏は、バーレーンの真珠産業は再び活気づく趨勢にあり、現在の不況は優雅で上品な天然真珠がダイヤモンドに取って代わるチャンスとみているようです。

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諏訪貿易バイヤー 原田信之氏のテクニック

 

 諏訪貿易㈱のバイヤー、原田信之氏のブロブ「ジュエリーコンシェルジュ 原田信之」のなかで、宝石バイヤーの道具とそのテクニックを紹介されています。

 「プロの道具箱③」では、メレーダイヤモンドをスコップですくってから置く、メレーダイヤモンドをすっくてから袋に入れる、各動作を動画を使って紹介されています。

 動作が余りにも速すぎて、そのテクニックがわかり辛いかとも思いますが、動作が速くなければ、メレーダイヤモンドを一気にすくうことができませんので致し方ないでしょう。

 スコップの先端が鋭利でないと、メレーをすくい辛いので、バイヤーのなかには、市販のスコップをサンドペーパーで尖らせて使いやすいように工夫していました。

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ティファニー 「The Wedding Book」に見る、4Cを越えたダイヤモンドの基準とは・・・

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左より「The Wedding Book」 「A Wedding Thank You」

 「The Wedding Book」は、ティファニーのダイヤモンドエンゲージリング・マリッジリング(最終ページのみウォッチ)、「A Wedding Thank You」が結婚式の引き出物のブックレット。

 「The Wedding Book」の最終ページに以下のような文章が記載されています。

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 より厳しいダイヤモンドの基準

 よく知られている簡単な4C(カット、カラー、クラリティー、カラット)は、ダイヤモンドの最高の美しさを見極めるのに十分なものではありません。ティファニーの宝石研究室は、その範囲を広げ、より厳しく追求する検査基準を使用しています。

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 では、ティファニーのいう、ダイヤモンド4C以外の基準は、何なのか。早速、Webサイトをチェックしてみました。

 Webサイトの「A Tiffany Diamond」は、4つの項目から成り立っています。

The Best There Is

より美しく輝くために、より厳しく 4C

倫理的な資源の確保

ティファニーの約束

 その中の「より美しく輝くために、より厳しく 4C」には、“プレゼンス(存在感)”という基準が追加されています。

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ティファニー独自の基準

ティファニーには、一般的な4Cの枠を越える、もうひとつの重要な品質基準があります。“プレゼンス(存在感)”とティファニーが総称するこの基準は、カットの正確さ、対称性、ポリッシュ(研磨)などの要素で構成されています。それぞれが独自に、また互いに関連しあって、白い輝きや虹色の光、強いきらめきを生み出すとともに、ダイヤモンド全体の美しさに影響を与えるのです。

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 しかし、“プレゼンス(存在感)”とティファニーが総称するこの基準のうち、「対称性(シンメトリー)」「ポリッシュ(研磨)」は、GIA基準の4Cのカットの項目で鑑定されているので、それだけではティファニー独自の基準とは言いがたいと思います。それら以外の「カットの正確さ」だけでは、独自性は弱いでしょう。

 そこで、他の項目をあたってみました。「The Best There Is」の項に、「美しさのメカニズム」に次のような説明があります。

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美しさのメカニズム

“光の透過”

ティファニーのダイヤモンドは、極めて単純化された4C以外に多くの要素を満たすことによって、より優れた美しさを放ちます。ティファニーが扱うもの、認めないもの、その理由を紹介します。ティファニーのより厳しい基準が、すべての違いを生み出すのです。

クラウンのファセットを通って、光がダイヤモンドの中に入ると、パビリオンに正確に配置されたファセットが瞬時に光を反射。完璧なハーモニーを奏でながら、遠く離れたところからでも目を惹きつけるほどの燃え立つ炎のような光がクラウンから放たれます。

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 ここでいう、「透過性」「(遠く離れたところからでも目を惹きつけるほどの)燃え立つ炎のような光」を持つダイヤモンドこそが、ティファニーのいう「プレゼンス(存在感)」のあるダイヤモンドといえるかも知れません。

 さて、長年、ダイヤモンドを扱ってきた宝石商であれば、ダイヤモンドには、4C以外の美しさの基準があることは知っているはずです。ただ、長年の経験からくる基準を論理的にしかもわかりやすくユーザーに説明するのは非常に難しいことです。ティファニーのいう“プレゼンス(存在感)”においても、ユーザーに的確に説明できているとは言いがたいものがあります。

 しかし、あえてそこにチェレンジすることで、ショップ独自の価値基準が生まれ、価格競争から脱却できるひとつの方策が見つかるのではないかと思います。

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NHK 鑑賞マニュアル「美の壺」のテーマで真珠が・・・

 NHK教育、毎週金曜夜10:00より放送の「美の壺」で、「真珠」が取り上げられます。

 放送は、NHK教育 今週の4月10日(金曜)夜10:00より。

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番組紹介(HPより引用)

 「美の壺」は暮らしの中に隠れたさまざまな美を紹介する、新感覚の美術番組です。 

 普段使いの器から家具、着物、料理、建築に至るまで、衣食住、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを取り上げていきます。 

 古今東西の美しいものの魅力を、洒落たジャズとともに、贅沢かつ知的に伝えます。日本人ならではの暮らしの知恵やこだわりは、見る者を豊かな気持ちにしてくれるはずです。
番組ではそれぞれのアイテムの選び方・鑑賞法を、いくつかの「ツボ」に絞ってわかりやすく解説していきます。 

 目指すは実際に使える「美術の鑑賞マニュアル」。 

 この番組で紹介したツボを覚えていただけば、これまで敷居の高かった骨董店や美術館でも、ひとかどの「通」として振る舞うことができるかも・・・。

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 「美の壺」という美術・骨董の専門番組で、真珠をどういった切り口で鑑賞の眼をもつべきか解説されるのか興味がわくところです。

 

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アンモナイトが、宝石「アンモライト」に

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 カナダビジネスサービス所有のアンモライト原石(写真は、フジサンケイ ビジネスアイより)

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 最高品質のアンモライトのペンダント(写真は、フジサンケイ ビジネスアイより)

 約2億7500万年から6500万年前に生息していた「アンモナイト」が化石化し、真珠の成分と同じアラゴナイト(一種のカルシウム炭酸塩)になった鉱物、「アンモライト」。1981年に国際宝石協会(CIBJO)によって宝石として認定されています。

 最初に発見したのは、カナダに住むブラックフットインディアン。彼らは、この石を「バファロー・ストーン」と呼び、幸運のお守りとして祭っています。世界各地でアンモナイトの化石が発見されていますが、写真のように光り輝くものは、カナダ・アルバータ州のセント・メリー河に沿った一部地域のみ。

 アンモライト詳細 

 同州政府の許可を得て、2004年から日本で販売を始めたのが「カナダビジネスサービス」(東京都目黒区)。昨年12月東京学芸大に、カナダ特産品の専門ショップ「カナディアンスピリッツ」をオープン。店内の一角には、数千円から数千万円のアンモライトの原石やこれを加工したネックレスや指輪が並んでいます。

 アンモライトの原石は、ちょっとグロテスクですが、鉱物、珍しい宝石にご興味のあるかた、一度お店に訪れてみてはいかがでしょう。

 併設 アンモライトミュージアム

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ダイヤモンドとの出会い

 宝石を扱い、商う人、それが宝石商。

 創業者の父親から、小学生の頃より、(いま思えば)宝石商になるべく薫陶を受けてきました。私の一番の師匠は、誰がなんて言おうが、亡き「オヤジ(ウチのおやっさん)」です。

 そのオヤジは、私が28歳のとき、享年62歳で亡くなりました。

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 たしか、小学校3年、4年の頃だったか、オヤジに呼ばれ、ダイヤモンドを初めてルーペで見ました。オヤジは、主に時計の修理で使う「眼孔でルーペを挟みこむタイプ」を使っていました。それは、両手が自由に使えて便利だからでしょう。

 私はオヤジのやっているように、どうやってもそのルーペを目の上下の筋肉をうまく使って挟むことができませんでした。

 手まどう私にむかって、「オマエには、まだ無理やな」とオヤジは笑い、右手にルーペを持って、商品に焦点を合わせる方法を私に教えてくれました。そして、おもむろに引き出しからダイヤモンドを取り出し、ピンセットでそれを挟み私に渡しました。

 「これがダイヤモンドや、ルーペで見てみ」

 今、思えば、そのダイヤモンドは、大きさから想像すると、5キャラアップぐらいの大粒ダイヤモンドだっだと思います。少し黄色味がかった石でした。

 「これが、ダイヤモンドか」

 小学生の私には、そのダイヤモンドは恐ろしく大きく見え、しかも異様にギラギラと輝いていました。

 恐る恐るダイヤモンドを取り上げ、利き目の右目で焦点をあわせようとする私。なかなか焦点が合いません。必死の思いで、左目を閉じてみた。

 「アホ、左目は開けとくんや」とオヤジは怒鳴り、もう一度、ルーペの合わせ方を私に教えてくれました。

 もう一度やってみる。何度かやっているうち、なんとか、ダイヤモンドが見えました。ものすごい大きさで。

 「どうや、きれいやろ」とオヤジ。

 「ほんまやなぁ・・・」私はしばらく、そのダイヤモンドをルーペでいろんな方向から見ていて、しばらくそのダイヤモンドを離しませんでした。

 「よっしゃ、今日は、もうええやろ」とオヤジは、一心不乱にダイヤモンドを見ていた私からそのダイヤモンドを取り上げました。

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 それが、初めてのダイヤモンドとの出会いであり、ルーペで宝石を見た始まり。

 私の宝石との初恋?は、「ダイヤモンド」。ですから、いまでも、数ある宝石のなかで、ダイヤモンドが一番好きです。

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「ホープ・ダイヤモンド」詳細について

 当ブログ「ホープ・ダイヤモンド」の正体は、ルイ14世の「ブルーダイヤモンド」でご紹介しました「ホープ・ダイヤモンド」について詳しく知りたければ、「Wikipedia」で検索してみるか、先のエントリーでご紹介しました、山口遼著「ダイヤモンドの謎 永遠の輝きに魅入られた人々」をお読みいただくのがよいでしょう。

Jgengo

 さらにもっと詳しく調べてみたいという探究心があれば、桃沢敏幸著「ジュエリー言語学 ジュエリー文化への言語からのアプローチ」をご覧になってはいかがでしょう。4ページにわたり、このダイヤモンドの特性・組成、歴史について解説されています。

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