宝石商セット

宝石商セット
どこに行く時にも携帯している4点セット。


セーム皮、ルーペ、ピンセット、ノギス。


武士の魂が、本差(長い刀)と脇差(短い刀)であるなら、宝石商の魂は、ルーペとピンセット。


プライベートの外出でも携帯しています。


過去にそのことで大きな御利益がありました。


ある時、業界のキーマンの社長二人にそのことで宝石商の端くれとして認めてもらい、その後、飛躍的に人脈が広がったこと。


高校テニス部の先輩Nさんは、「関西にNあり」と言われた名プレーヤーですが、テニスラケットのグリップ部分を切り取り、いつもそれをポケットに忍ばせ、グリップの感触を確かめていたことを覚えています。


何事も心構えが大切ですね。

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ジュエリー取り次ぎ店・取り扱い店からジュエリー専門店へ

 4月29日のエントリー、「ジュエリー・リフォームで勝負する!」 ジェイエム・ネットワーク編集・発行にthistleさんよりコメントをいただきました。

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(前文省略)

母が先日指輪をリフォームしました。できはよかったのです。
ただ、そこで思ったのは、地金は引き取ってくれるが、メレダイヤはひきとってくれない。結局、小さな石が残るだけだという事でした。
昔風のメレダイヤがとりまいていものをシンプルにといのが希望でした。当然ながらメインストーンは再利用しますが、余分は石は返却。商売としては分かりますが、メレダイヤ数個あったても(次のリフォームに使えってことでしょうけど)正直、死蔵するだけです。
その時に私がおもったのは、メレダイヤはこうやって死蔵されて、世の中に出す仕組みがないんだなって事です。
作り手の側からすると、石を引き取れないという理論は分かりますが、それを、改善しないと、リフォームしても石が残る。石を使いたいというと別なリフォームを薦められるだけと思われるでしょう。

リフォームを考えるなら、「石」のリサイクルも考えていただきたいと思いコメントさせていだきました。

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 日本のジュエリー店の大半は、「ジュエリー専門店」とは言いがたく、「ジュエリー取り扱い店」と言えます。新しいジュエリーを自らのリスクで仕入れることなく、もっぱらホテル催事などにユーザーを招待しているお店などは、「ジュエリー取り次ぎ店」と言っていいでしょう。

 ジュエリーのリフォーム需要がありながら、ユーザーの要望に真摯に応えることができる「ジュエリー・リフォーム専門店」が日本に少な過ぎます。その原因を端的に言うなら、「製品を一から作った経験がない」からです。

 デザイン発案、原型制作、材料調達、鋳造、仕上げ、石止め、という一連のモノ作りの過程において、全てをプロジュースすることができていないのなら、ジュエリー・リフォームなどできるわけがないのです。多くは、ジュエリー・デザイナーや卸会社に「丸投げ」しているだけです。

 ユーザー側にたって、ジュエリー・リフォームに対しアドバイスするなら、そのお店が「モノ作り」ができているか、できていないか、見極めてください。

 それと、thistleさんが要望されている「石」のリサイクル組織は、業界にはまだ確立されていません。宝石の真贋、評価ができるお店が少ないからでしょう。ただ、そういう組織を作ろうという動きは業界の中にはあります。

 ところが、宝石の真贋鑑定、宝石の評価ができるには、そうとうな経験と研究が必要で、そいいった人材が極端に少ない現状を考えれば、前途多難と言えましょう。

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「日本の宝石商は絶滅危惧種」に異論あり

 2月8日に「日本の宝石商が絶滅危惧種となる」が現実化する・・・ をアップしましたところ、早速、ある宝石店オーナーからお電話をいただき、絶滅に瀕しているのは「日本の宝石商」ではなく、「日本の宝石卸商」のことではないのか、と反論されました。

 このところの業界のトピックとして、大手ダイヤモンド卸会社がリストラを敢行が話題となっています。宝石店オーナーは、そのことを受けての異論、反論だと思います。

 例えば、「宝石商」という種があるとすれば、「宝石商種卸科」「宝石商種小売科」「宝石商種職人科」と「科目」を分類して、絶滅危惧に相当するかどうか考えていくほうがより正確でしょうね。

 「小売科」のほうは、売上の低迷でつぶれてしまうことのほかに、二代目、三代目がお店を引き継がないという問題も深刻です。それは、「職人科」にしてみても同じことがいえます。お店、工房を継承するものがいないとなれば、無理をして経営を続けるよりは、廃業してしまったほうが楽なので、そちらの選択肢をとることになるのでしょう。

 ただ、この業界も暗い話題ばかりだけではありません。宝飾専門学校を卒業して、独立起業している若き宝石商もいますし、芸大卒業生がアトリエで個展を開いて作品を発表したり、工房から独立して頑張っている若手の職人も少なからずいるわけです。

 そういう希望の「新種」に頑張ってもらわないと、本当に日本の宝石商は絶滅しかねないと思いますし、そういう「新種」が大いに活躍できる環境を作っていく作業をこれかからもっとしていかなければならないと考えているところです。業界の暗い側面だけをブログで書くのではなく、明るい話題、建設的な事例をこれからもっとご紹介していたいものです。

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「日本の宝石商が絶滅危惧種となる」が現実化する・・・

 2007年10月22日の当ブログエントリー

 

日本の宝石商は「絶滅危惧種」

 その嬉しくもない現実がじわじわとやってきそうです。私の予測は、友人たちの間では「当たる」と評判です。10年前に「宝石商にとって、御徒町は10年先にはゴーストタウンになる」と、業界の知人、友人に断言し、「脱御徒町」を断行すべく、御徒町の事務所を引き払いました。その後、相当苦労しましたが。

 さて、その予測の結果は、今の御徒町の現状をご覧になれば明らかでしょう。

 プランニングという作業は、「PDSCA(Plan Do See Check Action )」の連続です。まず、仮説を立てるという作業からスタートしますので、当然「未来予測」をすることにもなるわけです。未来が予測できれば、いち早くその対応策を立てることができるはずです。

 ただ、仮説、予測がまるで当たらないようではどうしようもありませんが。

 「日本の宝石商が絶滅危惧種になる」といっても、種が全く途絶えることはないと思います。幸いにして、業界の私の友人たち(宝石商)は、この逆風化においても、意気軒昂として頑張っていますし、昨年の業績も極端に落とすことはなかったようです。

 逆に、あるショップのオーナーは、「周りの宝石店がダメになったせいか、新規のお客様がこのところ増えたようだ」と言っていました。

 的確な予測、迅速な行動、情報交換がいかに大切か、理解できない人たちとの差は広がるばかりだと思います。

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「一隅を照らす」の精神で

 私は、仕事、友人関係、社会・コミュニティーとの関係で、いつも心に置いていることは、「一隅を照らす」ということです。

 「一灯照隅 万灯照国」は、それぞれのひとが、一灯でもって自分の周りを照らすようにだれもが心がけるようになると、それが万灯、億灯となり、国をも照らすことになる、という意味です。

 宝石商として一生を懸けて何をするべきか。真剣に考えるようになったのは、40歳になった頃です。30歳の頃、5年スパンで漠然とした「人生企画」は立てていましたが・・・。

 論語の一節に、「・・・四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(した)がう。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を蝓(こ)えず」とあります。私が40歳になった頃、ちょうどバブルがはじけ始めた頃で、おおいに迷い、2年後、一大決心をし、御徒町にあった事務所を引き払いました。

 その後、様々なことをやってきました。

 この「宝石月夜ばなし」を日々更新しているのも、一部の宝飾関係者と宝石愛好家の読者の皆さんに向かって、「一隅を照らす」の精神でやっています。

 今年は、「一宝塾」を主宰します。「一宝塾」は、塾生から塾費を強制的に徴収するつもりはありません。構想としては、「非営利団体」「NPO法人」あるいは、「自主運営」する団体にするつもりです。塾の切り口は、「宝石事業を企画」できる「宝企商」を育て、塾内企画をたて、市場・社会にアウトプットし、業界、社会に貢献することです。

 まだまだ企画を練り直さなければいけませんが、なるべく早く立ち上げたいと考えています。

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「カルティエ・スタイル」に学ぶこと

 宝石商は、どうあるべきか、宝石商としての信用は・・・。

 ひとつの指針として、「カルティエ」サイトの「Engegement - Excellence - Tell  Me - Cartie」をご紹介します。ただし、英文です。

 皆さん、頑張って英訳して理解しましょう。

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「練習場シングル」ゴルファーと頭デッカチ「宝石エキスパート」

 打ちっぱなしの練習場では、シングルハンディ並みのいっぱしのスイング理論を吹聴し、あーだ、こーだと人に教えたがるのですが、コースに出るとからっきしダメなゴルファーのことを「練習場シングル」というらしい。

 宝石の鑑別、内包物の産地特性、GIAでいう「Bストーン」にいやに詳しい「宝石屋」が最近特に増えているように感じます。石のウンチクを語らせれば、超一流なのですが、そのくせ、ダイヤモンドや色石の材料モノをいじらせると、ピンセットの石をソーティングパットの上でポロポロこぼすばかりか、石を飛ばしてしまう宝石屋がいます。その飛ばした石を探すのに一苦労、なんて醜態をさらしてしまうのです。

 GIA 鑑別コースで、教室で試験石を800個から1000個ほど(最近はどれくらいなのか定かではありませんが)みて、実際に鑑別するのですが、生徒がよく石を飛ばしてしいまい、大騒ぎでみんなでその石を探したりしていました。

 はっきり言って、自称「宝石のエキスパート」を自負するそのような人たちの中には、石を扱う実技においてはIDコースの生徒レベル程度のひとがいるものなのです。

 断っておきますが、知識も実践も超一流のすぐれた「宝石商」が私の周りにはたくさんいます。だから、読者の皆さんご安心?ください。

 知識やデータは、本や専門書を読んで、頭に叩き込めばなんとかなりますが、実践だけは経験がものを言います。

 紙付き(ソーティング済み)ダイヤモンドや出来上がった製品ばかりを扱っていても、何の支障も生じないジュエリー・ビジネスにしてしまい、頭デッカチの「宝石エキスパート」を多く輩出してしまった業界の責任は重いと私は思います。

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宝石商の基本は、「ルーペとピンセット」 

Loupe 「Loupe GIA World News」より

 「宝石商」の基本は、誰がなんといおうと「ルーペ」と「ピンセット」を自在に操れること。私はそう思っていますし、海外の「宝石商」(ジュエラー)も同じだと確信しています。

 上記写真は、GIAが卒業生に配布している機関紙の表紙です。インド人が、ダイヤモンド(原石)と真剣に相対(あいたい)している、そんな雰囲気がひしひしと伝わってきます。すばらしい写真、ワンショットです。さすが「GIA」の発行物、と感心しました。

 このブログをご覧のジュエリーヘビーユーザーの方、これから価値ある宝石を買ってみようと思われる方、宝石専門店に行って、売り場の販売員が宝石商(ジュエラー)であるか、そうでないか見極めるコツは、「ルーペとピンセットが自在に操れている」かどうかをチェックすることにあると思います。

 自在に操れていれば、そのひとは、かつて、宝石卸会社で海外バイヤーとして活躍されていたひとか、商品部で宝石材料のアソート担当だった、社内専任デザイナーだった、はたまた、ルース販売のトップクラスのセールスマンだった、、、、あるいはそのお店のオーナーかも知れませんね。

 石留め職人さんも、ルーペ、ピンセットを自在に操れます。ただ、対人関係が苦手な職人さんが宝石専門店の売り場に立っている確率は極めて低いと考えられます。

 さて、そういう人たちは、少なくとも、宝石商としての基本はマスターされた方と認めることができるでしょう。ただ、これはあくまで私の私見です。

 お客様側に立てば、今は「ジュエリーをコーディネートしてくれる販売員が一番」と思われる方のほうが多いのではないかと私も思います。

 ただ、「宝石」が好き、宝石のもつ神秘に魅力を感じると思われるかたは、宝石商から宝石を買うことをお薦めします。

 読者の皆さんから私の考えている「宝石商」に対するイメージが古いと言われれば、確かにそうかも知れません。でも、私は「ルーペとピンセット」をまともに扱えないひとを宝石商とは認めていません。たぶん、アントワープやニューヨークのダイヤモンドユダヤ商、バンコクの華僑宝石商、印僑宝石商たちの大多数がそう思っていると思います。

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