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宝生家の宝食なる日々〜第3話 (3-36)仁と透とダイヤモンド



写真は、阪急曽根駅近く「MAHOT coffee」

ウングウング、プハー。やっぱ、秋は秋味のビールに限る、そう思いつつ麗子は秋限定のビールをひとりキッチンで飲んでいる。

ガシャ、と勢いよくマンションの玄関ドアーを開けると、ドカドカと勢いよく娘のヒカルがキッチンに入ってきた。

「ママ、ママー、知ってる~、マホットさんにコーヒー焙煎機が置いてあったわよ」と興奮気味に早口でヒカルが甲高い声で麗子に言った。

「何いまさらそんなこと言ってんの。とっくのとうちゃん、パパから聞いているわよ。いくつになっても、騒々しいわね、あんたは」

「あら~、ごめんあそばせ、騒々しくておっちょこちょいなのは、ママゆずり」
ヒカルは、なんだよ、せっかく新情報を教えてあげようと、足早に帰ってきたのに、とそうとうおかんむりになった。

「コーヒー好きのパパが知らないわけないし、10月3日のマホットさんのリニューアルオープンにさっそく行って来たらしいわよ」
と、麗子はお気に入りの陶器のビールグラスに秋味ビールを注ぎいれた。

「だよね~」
ヒカルもしごく納得した様子。

「ところで、今度、パパと一緒に東京にエメラルドを仕入れにいくんだってー。久しぶりの東京ね。せいぜい楽しんできてね」
とちょっぴり皮肉まじりにそう言った。

「なに言ってんのよ、ママは。お仕事、お仕事」
とヒカルは言いながら、エメラルドの仕入れに興味津々だ。

「さっ、パパは、今晩は、仕事の打ち合わせで遅くなるって言ってたから、二人で晩御飯食べましょ」
麗子は、ビールを飲むのをやめて、夕飯の支度をし始めた。

第3話 終わり。

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