宝生家の宝食なる日々〜第3話 (3-33)仁と透とダイヤモンド
トリプルエクセレント(カットの総合評価、ポリッシュ、シンメトリー共にエクセレント)であってもハートとアローが全て見えるわけではないわけで、それが問題であり、消費者に対する混乱を招くことを誘発する。
そこで、トリプルエクセレントでしかもハートとアローが見えるブリリアントカットのダイヤモンドが4C評価のカットで最高なんだと主張し、それだけを扱うダイヤモンドディーラーが現れるに至るのだ。
そもそもダイヤモンドの重量を表す、carat以外は、グレイダーの評価次第でワングレード違ってくるボーダーのダイヤモンドがある。カラーは、マスターストーンとの比較でグレイダーが目視で決めるものであり、クラリティーも内包物の内容、大きさ、位置によって評価が違ってくる。
カットにしてもシンメトリーやガードル厚さなどの減点対象にグレイダーの意見が割れる場合がある。ただ、近年、GIAのコンピューター評価システムが確立しているので、そのシステムを導入している鑑別・鑑定機関であれば、評価のばらつきは、ほとんどないはずだ。
長年ダイヤモンドに関わってきた、仁や透にとって、ダイヤモンドの反射面でハートやアローが見えたからといって、「それがどやねん」と思うところだ。
シンメトリーがよく、トルコウスキーの理想的カットに近く、ある一定のバランスであれば、ハートとアローが見えるブリリアントカットダイヤモンドになる。
販売プロモーションのひとつとしては「おもしろい」手法かもしれない。
続く。
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