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宝生家の宝食なる日々〜第3話 (3-10)仁と透とダイヤモンド

仁は、大学入学以前からタバコを吸っていた。父親の方針で「男子は18歳で元服」ということで、家庭内で、酒、タバコは解禁。自分の部屋でタバコを吸うなら、灰皿とライターは必要だろうということで、二つをセットで支給された。隠れてタバコを吸って火事になったらえらいことになる、という心配もあって母親と相談の上、そうなったらしい。

二つ年上の兄、貴(たかし)は、タバコに興味が全くなく、タバコに手をださなかった。三人兄弟の末っ子で次男坊の仁は、なんにでも手を出し、どこへでもついてゆく.大阪でよく言うところの「いっちょうかみ」の性格で、タバコに興味があった。

タバコを吸う大人を見て、ああいう風に、かっこ良くタバコの煙りをくゆらしたいと常々思っていたからだ。

ゴホゴホ。

タバコを吸わない透は、けむたそうに手で仁の吐き出したタバコの煙りはらっている。

「ジン、けむたいねん。ところで、大学で何処かのクラブに入ったんか」

「いや、まだや、お前は決めたんか」

「池田高校のテニス部の先輩からの誘いでテニス同好会に入ることにした」
透は、冷めた甘いコーヒーを飲みながら、そう答えた。

「同好会?そんなん生ぬるいんちゃうんかい」
仁は、同好会には全く興味がなかった。透がけむたそうにしているので、吸いかけのタバコを灰皿にこすりつけて火を消した。

「いや、その同好会は、準体育会で、高校のインターハイ出場選手がゴロゴロいる。それに、練習参加は、自由なんでアルバイトができる」

「ホンマか、それはええかも」
仁は、急に乗り気になった。父親の方針で「18歳で元服」といわれ、誕生日を迎えたその日から親からの小遣い支給はなくなった。もう立派な大人と親からは認められたはいいものの、経済的な自立も同時に求められた。

「アルバイトやっていかな、小遣い親から出えへんからな」
仁は、高校の友人の紹介で、すでに阪急百貨店の食堂部でアルバイトをしていた。

続く。

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