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宝生家の宝食なる日々〜第3話 (3-3)仁と透とダイヤモンド

豊島小学校の急造軟式野球チームは、秋の大会に備え、真夏の炎天下、まさに泥まみれになり夏休み返上で練習に明け暮れた。

監督の藤波は、生徒を2チームに分け、「豊島小A」「豊島小B」というチーム名にした。AとBチームの実力は拮抗していて、いずれも優勝を狙えると監督は考えていた。

夏も終わりに近づいたころ、「第一回豊能地区少年軟式野球大会」が豊中市大門公園内野球場で始まった。

「おーい、ジン!」
どこかで聞いたような声がする。仁(ひとし)のことをジンと呼ぶのは、あいつだけだ。仁は、バットにグラブを引っ掛け背中に担いだまま振り返った。

「おぉ、透やないか。お前もこの大会に出るのか」久しぶりに見る透は、仁より大きくなりたくましく見えた。

「そうや、南桜塚小の代表や」

「ほんまか、お前が代表ならたいしたことなさそうやな」
負けん気の強い仁は、さっそく減らず口をたたいた。

「相変わらず、キッツイのう。まぁええわ」

「南桜塚小かぁ。順当に勝ち上がったら、ベスト4で当たることになる」
仁は大会のドロー表を見ながらつぶやいた。

続く。

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