毎日新聞の報道以来、NHKの朝の情報番組、民放夕方のニュースで、全宝協のダイヤかさ上げ問題について、さらに掘り下げた内容を放映していました。
ダイヤモンド・グレーディング・レポートを第三者の専門家がグレードしたいわゆる「鑑定書」として販売ツールとしておおいに利用してきたのは、他ならぬジュエリー業者であり、百貨店とはじめとした大手ジュエリー販売店です。バブル期、バブル崩壊以降、ダイヤモンドの4C基準による価格競争は常態化しています。さらに、ここ数年カットがエクセレントの「ハート・アンド・キューピッド」のダイヤモンドばかりを業界では販売しています。スコープ等を使って、「ハート」や「アロー」がダイヤモンドに見えることをユーザーにプレゼンしています。しかも、「4Cボード」を使ってダイヤモンドの基準について詳しく説明しています。
私自身、GIA GGであり、卸会社の社内鑑定をしたり、AGLに加盟しているラボにいた経験があります。
ダイヤモンドのグレードが余りにもばらばら、しかも鑑定・鑑別機関が100社以上あり、0.15ct程度のダイヤモンドまでグレーディング・レポートを発行する現状をCIBJOの国際会議で指摘され、統一したソーティング、グレーディング・レポートを日本で発行しようとする動きが、いまから25、6年前にありました。
鑑定・鑑別会社、数社がその考え方に賛同し、実際に動きだしたところ、大手百貨店の「指定」鑑定書(グレーディング・レポート)の壁が厚く日本の「CIBJO グレーディング・レポート」は幻となってしまいました。
そののち、AGLで各社のダイヤモンド基準評価の「目合わせ」が定期的に行われるようになりました。減点評価に差がある「カット」評価は、GIAの評価をプログラミングしたソフトを各社が使って統一を計っています。
そういう経緯のなか、過去、某AGL加盟大手が今回と同じようなことをして問題を起こし、今回、またもや同じことを繰り返しています。日本の鑑定・鑑別会社は、一私企業です。政府や役所の認定があるわけでもありません。グレーダーに国家資格が必要でもないのです。グレーダーの主体は、GGだと思いますが、大手になるとそうでもないようです。
そういうものを「お上」の認定のように、豪華装丁されたカバーをつけ販売をしてきたダイヤモンド卸会社、鑑定・鑑別会社、大手販売店に問題があり、それを黙認してきた業界自体に問題の本質が存在するのです。
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