“老舗は常に新しい”「丸山海苔店」に学ぶ
私は、新しい発想、戦略を得ようとしたとき、同業より異業種に学ぶところが多いと考えています。
今回は、4月9日、フジサンケイ ビジネスアイ「成長企業」で取り上げられた「丸山海苔店」の戦略から学ぶことにしましょう。
丸山海苔店は、安政元(1854)年、江戸・日本橋に海苔問屋「川口屋」(前身)を開業。のち、東京・築地に本拠を移し、現在年商約20億円と小粒ながら最高級ブランドとしてその地位を確立しています。
同社は、代々、国内3大産地の東京湾、瀬戸内海、有明海などの漁協による競り市の入札権を持ち、自ら競り落としたのりを茨城県つくばみらい市にある自社工場で加工。関東のすし店約3000軒に納入するほか、首都圏の直営店10店舗とDMやインターネットを通じて販売しています。いわゆる、自社仕入れ、自社加工、自社直販業態を貫いています。
丸山海苔店の存在を広く世間に知らしめたのが、2007年に発行された「ミシュランガイド東京2008」。「すきやばし次郎」「鮨水谷」の三つ星2軒、二つ星4軒のすし店すべてが同社ののりを使用していることがわかり、「最高のプロに認められた品質」であることが裏付けられました。
「品質というのは、お店ごとに異なる歯ざわりやかみごたえ、味などの要求に合わせて選別、加工することである」と同社は言っています。
プロ職人に選び抜かれた品質は、口コミで消費者に伝わり、1978年に始めたDM販売の顧客は現在5万人にのぼり、リピート率は45%と驚異的な数字となっています。
また、同社は、20年前から日本茶事業を手がけ、2003年、築地に「寿月(じゅげつ)堂」を開店。昨年10月、パリのサンジェルマン地区に、日本茶専門店「寿月堂パリ店」をオープン。開店以来、現地の日刊紙や雑誌、エールフランスの機内誌などに取り上げられています。
同業大手が百貨店やスーパーの長期低迷に歩調を合わせて不振を余儀なくされているなか、同社は「自社仕入れ、自社加工、自社直販」の強みを生かし成長しています。
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同社HPより
代表取締役社長 丸山邦治
変革の時代といわれている今、企業に求められているものは革新と創造。丸山海苔店は、“老舗は常に新しい”の企業理念にのっとり先見性を重視し、時代の流れの中で良いものは取り入れ、伝統として残すべきものは残す。そして、お客様の満足度を高めるマーケティング活動を一層充実させ、消費者が真に求める製品の創造、開発、生産、供給、流通の分野を強化してまいります。
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大手百貨店や大手チェーン店に依存してきた宝飾卸業社。すでに業態の変革を迫られているなか、丸山海苔店に学ぶことが多いのではないでしょうか。
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