ダイヤモンドとの出会い
宝石を扱い、商う人、それが宝石商。
創業者の父親から、小学生の頃より、(いま思えば)宝石商になるべく薫陶を受けてきました。私の一番の師匠は、誰がなんて言おうが、亡き「オヤジ(ウチのおやっさん)」です。
そのオヤジは、私が28歳のとき、享年62歳で亡くなりました。
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たしか、小学校3年、4年の頃だったか、オヤジに呼ばれ、ダイヤモンドを初めてルーペで見ました。オヤジは、主に時計の修理で使う「眼孔でルーペを挟みこむタイプ」を使っていました。それは、両手が自由に使えて便利だからでしょう。
私はオヤジのやっているように、どうやってもそのルーペを目の上下の筋肉をうまく使って挟むことができませんでした。
手まどう私にむかって、「オマエには、まだ無理やな」とオヤジは笑い、右手にルーペを持って、商品に焦点を合わせる方法を私に教えてくれました。そして、おもむろに引き出しからダイヤモンドを取り出し、ピンセットでそれを挟み私に渡しました。
「これがダイヤモンドや、ルーペで見てみ」
今、思えば、そのダイヤモンドは、大きさから想像すると、5キャラアップぐらいの大粒ダイヤモンドだっだと思います。少し黄色味がかった石でした。
「これが、ダイヤモンドか」
小学生の私には、そのダイヤモンドは恐ろしく大きく見え、しかも異様にギラギラと輝いていました。
恐る恐るダイヤモンドを取り上げ、利き目の右目で焦点をあわせようとする私。なかなか焦点が合いません。必死の思いで、左目を閉じてみた。
「アホ、左目は開けとくんや」とオヤジは怒鳴り、もう一度、ルーペの合わせ方を私に教えてくれました。
もう一度やってみる。何度かやっているうち、なんとか、ダイヤモンドが見えました。ものすごい大きさで。
「どうや、きれいやろ」とオヤジ。
「ほんまやなぁ・・・」私はしばらく、そのダイヤモンドをルーペでいろんな方向から見ていて、しばらくそのダイヤモンドを離しませんでした。
「よっしゃ、今日は、もうええやろ」とオヤジは、一心不乱にダイヤモンドを見ていた私からそのダイヤモンドを取り上げました。
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それが、初めてのダイヤモンドとの出会いであり、ルーペで宝石を見た始まり。
私の宝石との初恋?は、「ダイヤモンド」。ですから、いまでも、数ある宝石のなかで、ダイヤモンドが一番好きです。
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