ジュエリービジネスは、「ロングテール」的発想ビジネス
「富士通総研HP
サイバービジネスの法則集」より
「ロングテールとは、ネット販売において、ほとんど売れないニッチ商品の販売額の合計が、ベストセラー商品の販売額合計を上回るようになる現象のこと。雑誌『ワイヤード』編集長のクリス・アンダーソンが提唱したもので、販売ランキング順に販売額の曲線を描くと、ベストセラーが恐竜の高い首(ヘッド)で、ニッチ商品が長い尾(テール)のようになっているところから名づけられた」。
さて、ジュエリービジネスは、もともと「ロングテール」ビジネスで、それ以外でもなく、それ以上でもありません。そのことを理解し、対策を講じなければならないと考えています。
少ロット多品種であるべきシュエリーが、大量生産・同一規格品になった時代がありました。ひとつは、「キ平ネックレス」に代表される機械生産ネックレス。トータル1ct一文字リング98000円などに代表されるキャラ目と売値を固定したダイヤモンド企画品。7~7.5ミリ珠チョーカーなどの真珠製品。
百貨店やナショナルチェーンのチラシに踊っていたこれらの同一規格・企画品。メーカーが大量に生産し、また飛ぶように売れました。ある意味、ジュエリーの裾野を広げる結果になりましたが、今考えますと、ジュエリービジネスをダメにした戦略のひとつになりました。
もともと、宝石は、ふたつとして同じものがないもの。ダイヤモンドの正八面体の原石をふたつにソーイングしたとしても、形の違うツインができるだけ。
没個性、画一化は、宝石には合わないコンセプト。宝石は貴石、半貴石を含めますとそれだけでもかなりの種類になります。例えば、X軸に宝石、Y軸に地金素材(金、プラチナ、シルバーなど)、Z軸にアイテム(指輪、ブレス、ネックレス、ピアス・イヤリング等)を想定しますと、どれぐらいの商品群が出来るでしょう。おそろしいほどの数(種類)になります。
それに流行を考慮して、総合的にジュエリーを取り扱い、販売するとなると、膨大な資金力が必要になり、また、へたをすれば、膨大な死に筋、不良在庫を抱えることになります。
だから、ジュエリー業界で成功するためには、ロングテールな思考をもたなければなりません。といっても、ネット通販だけに頼り、ジュエリーを販売し、業績を上げることは、投下した資金やスタッフの費用を考えますと、採算に合わないものです。専任スタッフひとりかふたり程度でやっていくのであれば、利益が出るかもしれません。月100万売れれば、御の字。というより、大成功でしょう。
メーカー、卸の戦略も変貌せざるを得ません。2006年、㈱柏圭のブラウンダイヤモンドに特化した販売戦略もそのひとつでしょう。
ジュエリー業界のなかで、商品が売れないのは、主に販売員のせい、と決め付けている経営者を多く知っていますが、とんでもない話しです。商品戦略、販売プラン、広告・広報戦略をおざなりにしているお店、会社はこれからますます衰退していくと思います。
成熟期に入ったジュエリービジネス。基本的に「市場に(大量に販売できる)売れ筋」商品などないと考えないと失敗します。各店、各会社独自で「売る商品」を考え、あるいは、作ることです。
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