「4Cボード」をごみ箱へ
日本の宝石店、特にブライダルジュエリーショップで多用する「4Cボード」。「4Cボード」とは、ダイヤモンドの国際的な品質基準の4Cについて簡単な説明ができるカウンターボードのことです。
12月1日に銀座ブルガリ店3Fブライダルサロンにて、ブルガリの販売員がエンゲージやマリッジリングを売る場合、どのように商品説明をするのか聞くことが出来ました。ただし、直接接客を受けたわけではなく、他の商品を見ているふりをして「耳をダンボ」にして聞いていたのですが・・・。
ブルガリでは、「4Cボード」は使用していませんでした。それより自店の扱っているダイヤモンドリングのすばらしさについて多くの時間を割いて説明していました。(私がそのとき聞いた限りでは)
ダイヤモンドの基準である「4C」は業者間で当たり前になっていますが、一般のユーザーの認知がまだまだなかった時代、「4Cボード」は便利なツールでした。しかし、いまやダイヤモンドの4Cのなんたるかは、結婚適齢期の女性であれば、ほとんどが知っているのではないでしょうか。ましてや、インターネットが普及している昨今、エンゲージリングを購入する事前知識として、ダイヤモンドの4Cについてネットで調べているはずです。また、ウェディング関連雑誌でも頻繁に解説されています。
御徒町で事務所を構え商売をしていた時期に、テニス仲間に随分ダイヤモンドエンゲージリングをお世話したことがありました。もう、10年以上前のことですが。
そのとき、ほとんどのフィアンセの言うことは、どこのお店に行っても、「ダイヤモンドの4C」について散々説明を聞かされてばかりでウンザリしたということでした。
日本の宝石店では、結納前のカップルに「ブライダルリング」「エンゲージリング」をお薦めする接客ではなく、「ダイヤモンド」の説明に終始している傾向があります。お客さまは、「メモリアルジュエリー」のひとつとしてダイヤモンドリングをお買い求めになっているはずです。
そもそも、「エンゲージリング」は、ダイヤモンドリングと決めつめていること自体がおかしいと考えています。婚約リングがルビーやパール、エメラルドのリングでもいいはずです。
日本の宝石店は、エンゲージリングといえば、お客さまにダイヤモンドをお薦めし、扱っているダイヤモンドは、判で押したように「エクセレントカット」のダイヤモンドばかりです。今や、「4Cボード」に「鑑定書」「ハートやアローが見えるスコープ」が接客するツールとしてプラスされています。
日本の宝石店の皆さん。あなた方は、ダイヤモンドディーラー、ダイヤモンド卸商なのですか。いや、10倍のルーペで色、キズ、メイクの3Cをアソートできないのであれば、ダイヤモンドディーラーとも言えません。
ダイヤモンドが「Gアップ、VVS、EX」クラスであれば、どれも同じようなものなので、いちいちルーペで見ることもないだろう、と反論、言い訳?される方がいるとすれば、その人は、ダイヤモンドを扱う能力、資格がないと思います。ダイヤモンドが見れない(選別できない)から、4Cボードや鑑定書に全面的に頼るセールストークになるのでしょう。
「4Cボード」に頼らなければ、ダイヤモンドが売れないようでは、これからますます国際化する競争に勝つことはできないでしょう。「4Cボード」がなくてもダイヤモンドリングが売れる「宝石店」こそ、本物の「宝石店」だと思います。
これからの宝石店は、「4Cボード」(それに類するもの)は、「過去の遺物」ぐらいの感覚がなければだめです。「4Cボード」はごみ箱へ、です。
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