紛争地と天然資源
4月26日、サンケイ新聞の記事より。
『エチオピアの油田襲撃事件 ~アフリカ 国内紛争の巻き添え 中国の進出 摩擦生む』
事件の概要・・・東アフリカのエチオピア東部で24日早朝、武装グループが中国資本が開発した油田を襲撃。中国人9人とエチオピア人65人の作業員74人を殺害。武装グループは、エチオピア東部オガデン地方の独立を目指す「オガデン民族解放戦線」(ONLF)。ONLFは声明で、「われわれのものである鉱物資源を、エチオピア政府や企業が搾取することを許さないと繰り返し警告してきた」と発表。
記事の中の「アフリカでの中国の主な進出状況」一覧より、主要なものを列挙します。
ナイジェリア・・・石油、天然ガス 武器売却。技術提供などと引き換えに石油採掘権を獲得。
コンゴ共和国・・・銅、金、ダイヤ、石油 体育館、議事堂などの施設。石油利権を獲得。
南アフリカ・・・金、コバルト、ダイヤ 中国製衣料品などの大量流入で、地元経済界などが反発。
エチオピア・・・金、石油、天然ガス 2004年5月から石油採掘開始。
ジンバブエ・・・プラチナ、金、銅 戦闘機売却、大統領宮殿の建設協力など。経済援助のかわりにプラチナ利権を独占。
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さて、われわれ宝飾業界と縁が深い、金、プラチナ、ダイヤモンドと同様、石油、天然ガス、ウランなども地下資源です。
帝国主義の時代、土地そのものが利権の対象でした。産業革命によって大量に生産した商品をさばくため、あるいは、生産のための労働力確保のため、植民地主義に走りました。
第二次大戦、東西冷戦を経て、今は領土に眠っている地下資源獲得のため、世界各地で紛争が起こっています。中東、イラク、イラン問題の根元には、豊富な石油資源があります。身近なところでは、日本近海の天然ガス資源開発で中国と日本がもめています。
紛争(コンフリクト)ダイヤモンドは、資源獲得紛争の一部に過ぎないのです。
中東などの石油が紛争問題と直結しているので、紛争地からの石油を輸入しない、紛争原産地の石油を精製したガソリンを消費者が買わないということは、かつてなかったことですし、世界の政治、経済状況を考えますと、これからもないでしょう。
一部の団体、NGOが紛争ダイヤモンドのことをしきりに問題しているのは、多分に富裕層、贅沢品へのアンチテーゼのためと思います。
中東の石油が紛争の火種だからといって、各国が輸入禁止にしようものなら、世界経済は立ち行かなくなります。
同じ地下資源である、黒いダイヤ(石油)と天然ダイヤモンドとは同じ範疇として捕らえるべきもの。
ダイヤモンドと紛争を結びつけて、問題視するならば、石油、天然ガス、原子力の原材料ウランも同等に問題にすべきなのでは・・・と思うことはしごく当然?
紛争ダイヤモンドだけではなく「紛争地と天然資源」ということを広い視点でもって考えてみれば、色々な問題が浮き彫りになってきます。
経済発展、エネルギー問題、環境破壊、民族闘争など。
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