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リフォーム工房モア

宝石、宝飾加工の街、御徒町の地盤沈下は、深刻度を増すばかりです。

 ジェイエムネットワーク代表 高村秀三氏より、御徒町加工会社の新しい取り組みに対するレポートの掲載依頼がきましたので、以下、原稿を全文掲載します。

 リフォーム工房モアの運営会社「サカモトインダストリーアート」社長、坂本氏は、26年前、私が御徒町の卸会社に勤めていたときから存じ上げています。応援の意味を含めてブログに取り上げました。

Let's Challenge! 
― ある加工会社の試み

ジェイエムネットワーク 代表 高村秀三

地盤沈下する御徒町

御徒町の加工会社が厳しい局面に立たされている。メーカー・卸からの発注量はここ数年極端に落ち込んでおり、ほとんどの加工会社が存続の危機にある。
御徒町の加工職人はすでに7割方韓国勢で占められていたが、その韓国勢すら、一部本国に帰り始めていると聞く。急ぎの仕事を徹夜も厭わず受注し、発注者が下げてくる加工単価をギリギリのところで支えてきた韓国系すら仕事が少なくなっているのを見れば、もはや貴金属加工の集散地としての御徒町は成立しないと見なければいけないのかもしれない。

問屋が商品をまったく作らなくなっているわけではない。昔に比べれば製作点数や量は大幅に減っているが、そこそこ作ってはいる。しかし、発注先が違うのだ。発注しているのは中国や韓国であり、タイである。理由は、しかし「安さ」ばかりではない。かの国々の加工技術レベルはもはや日本と大差なくなっており、「日本より一部は上だ」という人もいたりする。御徒町でなければならない理由が、もはやなくなっているのだ。

「これまでのやり方」の先に未来はない

では、御徒町を拠点としてきた日本の貴金属加工会社、貴金属加工職人は、もはや生存出来ないのかと問われれば、「これまでのやり方ではもうムリだ」というのが大方の結論であろう。残念ながらもはや「従来型ではありえない」のだ。しかしそれは「これまでのやり方」で、という前提でである。ならば、どういうやり方であれば成立するのか。
この設問に果敢に取り組む加工会社もある。

「リフォーム工房モア」の取組み

JR御徒町駅からは少し歩くが、銀座線「稲荷町駅」からほど近い下谷神社のそば、下谷神社前郵便局の前に一年前「リフォーム工房モア」という修理リフォームショップがオープンした。表が5坪程度の店舗スペースで、裏に工房を控える工房型のショップである。台東区のモデル事業にも認定されているこのショップのオーナーは坂本俊雄氏。御徒町で貴金属加工会社「サカモトインダストリーアート」を22年にわたって経営してきた、御徒町を代表する加工会社経営者の一人である。

注文が一本づつになって決心

氏に、ショップオープンの経緯をうかがった。
「当社は、貴金属関係卸のなかでも、比較的大きい会社とこれまで取引させていただいてきました。いいときは本当に良くて、一番多かったときで職人を10人程抱えていました。それでも忙しくて手が回らないことがあったくらいです。

それが、だんだん悪くなってきて、じつはいま職人は2人です。その2人の職人の手が最近は空くときがあるんですから、実情は推して知るべきでしょう。

ショップをやろうと決めたのは、お客様からの注文が、ついに一本づつになってしまったことです。問屋からの発注が一本では、原型代もでません。その一本の発注を「委託で頼む」と言われたりすることもあるんですから、これではムリですよ。それで、一本だったらエンドユーザーと同じではないかということで、熟慮した結果、やろうと決めたわけです。

幸い当社には、22年の営業の成果として1万2千型の原型があります。この一部を活用すれば、価格競争力のあるリフォーム・ビジネスがすぐ可能ですし、加工部門もありますから修理サービスも安く提供できます。製品を出すわけではありませんから、少なくなったとはいえいまもお取引願っている卸会社にも失礼はないかと考えたわけです」。

加工会社だから出来る対応力を生かす

店頭のプレゼンテーションが良くできている。入って正面の壁面いっぱいに空枠サンプル約500型がディスプレイされている。街中にあるリフォームショップでもこれだけの点数を一望出来る店はない。お客はそれを見ながら気に入った枠を指定し、注文すればすぐに製作に入ってもらえる。修理であれば、ほとんどその場で対応してくれる。加工専門会社ならではのサービスであり、お客にとってこれは得がたいメリットだ。

立地ではハンディが

ただ、場所は御徒町である。周辺にお客がいないわけではないが、商店街ではないし、探しやすい場所でもない。そういうハンディを背負っての出発であったが、新聞折込や台東区のタウン誌などへの告知をコツコツと積み重ねて、少しづつ実績も出来てきた。

「そこにある下谷神社前郵便局に、この辺に勤めている女性の方が結構立ち寄ります。その人たちが眼に留めてくれて、注文してくれます。いまは、この周辺に住んでいるお客様と、ここに勤めに来ているお客様が半々というところです。ここで実績を作って、少し余裕が出来たら、いずれはもう少し立地のいいところに2号店を出したいと思っていますよ」。

21世紀の貴金属加工会社が進むべき道

御徒町で、いや日本でこれからも貴金属加工が生き残っていくのは、こうしたエンドユーザーと直接つながった部分か、エンドユーザーの窓口である宝飾店とつながった形でしかありえないのではないか。だいたいの加工関係者がそういう結論を持ち始めているが、しかし実際に行動に移している会社や個人は極めて少ないのが実情だ。

昔気質の職人は「お店への義理」を口にするが、義理で飯は食えない。問屋さえも直接間接に小売店経営を始めている昨今、もはや義理も萎えていると見るべきだろう。

いや「お店への義理」というのは、実は何も行動しない、行動出来ない加工関係者の、自らへの言い訳に過ぎないのかもしれない。

貴金属加工関係者は、一度「リフォーム工房モア」を覗いてごらんになってみてはいかがだろうか。あきらかにここには、まだ途上ではあるが、21世紀の貴金属加工会社が歩むべき第一歩が標されている。

リフォーム工房モア
〒110-0015 東京都台東区東上野3-8-7 矢口ビル
Tel. 03-3839-6161
E-Mail sakamoto@platinum-cast.co.jp
URL http://www.platinum-cast.co.jp/more/


リフォーム工房モアの店頭

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入った正面にディスプレイされている500型の空枠コレクション

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