ベリリウム拡散処理サファイア
昨日、GIA JAPANより、「Gemologists News vol.54」(季刊ジェモロジスト ニュース)が届きました。(リンク先URLにて、オンライン版がダウンロードできます)
その中に、7月20日、26日に東京、大阪校にてGIAリサーチ部門の責任者であるシグリー博士を迎え行われたGIAアップデートサミナーのレポートが掲載されています。
軽元素であるベリリウムを発色剤として微量使う「ベリリウム拡散処理サファイア」が、業界で流通し、その存在が問題になりました。
さて、そのレポートによりますと、未処理である色の薄いサファイアを分析した結果、ベリリウムがが検出されています。
今後の課題として、絶対に処理されていないということが判明しているサファイアには、ベリリウムが存在しているかどうか、もし存在しているのであれば、どの程度の量が存在しているがどうか精査することです。
現在、ベリリウムが存在するからといって、処理なのか、未処理なのか決めつけることや証明することができないということになります。
詳しくは、上記GIA JAPANウェブサイトよりPDFをダウンロードして全文をお読み下さい。
尚、内包インクルージョンについては、中央宝石研究所HP、CGL通信vol.06 を参照して下さい。
追記:10月14日午後10時30分
Bunkyuさんより、下記のコメントを頂きました。本文中に転記します。
同じ処理装置で、高温(1700度位)ベリリウム拡散処理後、ベリリウムを使用しない中温(1000度前後)・低温(500度前後)加熱処理した場合、前の残留ベリリムが付着する可能性が在ります。
ベリリウム処理は、高温処理が必須条件なので、顕微鏡検査で内包物の破壊状態を観れば、判別が可能です。
低温・中温処理では、ベリリウム拡散処理は不可能です。
自然界のサファイヤにベリリウムが入り込む事もありません。
低温・中温・非加熱処理の分別検査が完璧でない為、低温・中温処理のサファイヤに残留ベリリウムが付着した場合、ナチュラル・ナチュラル石にベリリウムが含有されていると、誤解を生むものと考えた方が妥当です。
しかし、その量はごく微量で、リブスでは測定不能な程の量だと言われています。
より高性能なシムス装置で、相当時間を掛けて披検査箇所を数箇所に増やし、量も多目に採取しないと、残留ベリリウムは検出されないはずです。しかし、その様な微量な残留ベリリウムでは、拡散処理効果はゼロに近いと思われます。
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コメント
同じ処理装置で、高温(1700度位)ベリリウム拡散処理後、ベリリウムを使用しない中温(1000度前後)・低温(500度前後)加熱処理した場合、前の残留ベリリムが付着する可能性が在ります。
ベリリウム処理は、高温処理が必須条件なので、顕微鏡検査で内包物の破壊状態を観れば、判別が可能です。
低温・中温処理では、ベリリウム拡散処理は不可能です。
自然界のサファイヤにベリリウムが入り込む事もありません。
低温・中温・非加熱処理の分別検査が完璧でない為、低温・中温処理のサファイヤに残留ベリリウムが付着した場合、ナチュラル・ナチュラル石にベリリウムが含有されていると、誤解を生むものと考えた方が妥当です。
しかし、その量はごく微量で、リブスでは測定不能な程の量だと言われています。
より高性能なシムス装置で、相当時間を掛けて披検査箇所を数箇所に増やし、量も多目に採取しないと、残留ベリリウムは検出されないはずです。しかし、その様な微量な残留ベリリウムでは、拡散処理効果はゼロに近いと思われます。
投稿: bunkyu | 2006/10/14 21:40